タイ 曜日の動物:星を運ぶライオン・馬・水牛・象
太陽はライオン、月は馬、火星は水牛、水星は象に乗ります。タイの曜日の動物と水曜日の夜のラーフの乗り物、日食のシンボルになった理由まで整理しました。

星にも乗り物があります
インドとタイの伝統では、天体は単なる火の玉や岩ではなく、神聖な存在、つまり「ナヴァグラハ(นพเคราะห์)」の神々として描かれます。神々には乗って移動する動物がいて、それを「パーハナ(พาหนะ)」、日本語でいう「乗り物」と呼びます。寺院の壁画や護符、古い占星術書の絵に、星ごとに違う動物がいっしょに描かれているのは、そのためです。
曜日を守る星と動物のペアは、曜日の色とあわせて覚えておくと、タイ文化がぐっと面白くなります。この記事では、タイ語の資料で広く紹介されているペアをまとめました。本や地域によって違って伝えられるものもあることは、先にお伝えしておきます。
曜日の動物を一目で見る
日曜日、太陽(พระอาทิตย์):ライオン(ราชสีห์、ラーチャシー)
月曜日、月(พระจันทร์):馬
火曜日、火星(พระอังคาร):水牛(กระบือ)
水曜日の昼、水星(พระพุธ):象(คชสาร)。白い象として紹介する資料もあります。
水曜日の夜、ラーフ(พระราหู):ガルーダ(ครุฑ)がもっとも広く紹介されていますが、資料によって違います。下で詳しく見ます。
木曜日、木星(พระพฤหัสบดี):鹿
金曜日、金星(พระศุกร์):牛(โค)
土曜日、土星(พระเสาร์):虎
このペアは、タイのポータルサイトSanookの「ナヴァグラハの神々」の整理と、Isan Insightが紹介したコンケン地方の寺院の壁画の記録をあわせて参考にしました。
ライオン、馬、水牛、象
日曜日の太陽はライオンに乗ります。空の王である太陽には、動物の王であるライオンがふさわしいと考えたのでしょう。タイ語では「ラーチャシー(ราชสีห์)」と呼びますが、ライオンと神話の獅子を合わせた名前です。月曜日の月は馬に乗ります。月明かりの下を走る白い馬を思い浮かべると覚えやすいです。ほかのインドの文献では月の戦車をカモシカが引くとも言い、同じ月でも地域によって話が違います。
火曜日の火星は水牛に乗ります。力が強く、一度決めたら押し通す動物なので、火星のエネルギーによく合うといわれます。水曜日の昼の水星は象に乗ります。象はタイで知恵と幸運を象徴する動物なので、学問と話術を司る水星にふさわしいペアです。
鹿、牛、虎
木曜日の木星は鹿に乗ります。木星は師と学識の星とされ、鹿の穏やかなイメージがその性格に似ています。金曜日の金星は牛に乗ります。金星は愛と美と豊かさを象徴する星として紹介され、牛は豊かさと穏やかさの象徴です。
土曜日の土星は虎に乗ります。ゆっくりでも重みをもって動く星なので、虎の威圧感と合うと解釈する人もいます。ただ、こうした解釈は後の時代につけられた説明かもしれず、どの動物がなぜどの星とペアになったかについて、伝統の公式の解説があるわけではありません。空の7つの星に7つの動物がひとつずつ割り当てられた象徴の体系として楽しめばよいのです。
ラーフの乗り物は何でしょう
水曜日の夜を守るラーフは、資料によって乗り物が違います。Sanookがまとめたタイのナヴァグラハの説明では、ラーフはガルーダに乗るとされています。ガルーダは仏教やヒンドゥー神話に出てくる神鳥で、タイでは王室や官庁の象徴にも使われている存在です。
一方、タイ語版ウィキペディアは、ラーフが青いライオン(ราชสีห์สีน้ำเงิน)に乗ると紹介し、英語版ウィキペディアはインド側の伝承として黒いライオンに乗ると書いています。Isan Insightは、コンケン地方の寺院の壁画を紹介しながら、ラーフは普通ガルーダとともに描かれるが、その寺院の絵にはそれがないと記しています。このようにラーフの乗り物はひとつに決まっていません。そこでこの記事では、もっとも広く紹介されているガルーダを先に書きつつ、異論があることもあわせて示しています。
動物の話の楽しみ方
曜日の動物は、護符、カレンダー、絵本、お土産によく登場します。タイの寺院の壁や占星術書の挿絵に、星と動物がいっしょに描かれている姿は、「この星はこんな性格」という説明書であり、ひとつの絵物語でもあります。文字を読まなくても動物を見ればどの星かわかるようにした、視覚的な工夫でもあります。
自分の曜日の動物を一頭決めておくと、なんとなく心強くなることもあります。日曜日のライオンは堂々とした姿、月曜日の馬はやわらかな疾走、火曜日の水牛は粘り強さ、水曜日の昼の象は知恵、木曜日の鹿は穏やかさ、金曜日の牛は豊かさ、土曜日の虎は重みといったイメージを思い浮かべてもよいでしょう。ただし、これは伝統の公式な解釈ではなく、イメージを楽しむひとつの方法だということは覚えておいてください。
だから水曜日の夜は日食の姿なのです
ラーフが動物の姿で描かれることとは別に、ラーフをもっともよく表すイメージは「月や太陽を飲み込もうとする頭」です。ヒンドゥーと仏教の神話で、ラーフは乳海を攪拌する儀式のとき、神々の中に紛れ込んで不死の甘露を飲んだアスラです。太陽と月がそれに気づいてヴィシュヌに知らせ、ヴィシュヌが円盤で彼の体を切り裂きました。甘露はすでに喉まで届いていたので頭は死なず、頭だけになったラーフは太陽と月を追いかけて飲み込もうとします。けれども体がないので、飲み込まれた太陽と月はまた喉から出てきます。これが日食と月食だという説明です。
パーリ語の仏典である「チャンディマ経」と「スーリヤ経」にも、ラーフが月と太陽をつかまえたあと、月と太陽が仏さまに帰依する詩を唱えると解き放つ場面が出てきます。そのためタイには、口に月をくわえたラーフの彫刻が寺院に祀られていて、ラーフは恐ろしい存在であると同時に、仏教に帰依して太陽と月を放した存在としても語られます。
Horasatが水曜日の夜を動物ではなく日食のシンボルで描いたのも、このためです。ほかの7つの星には動物という分かりやすい象徴がありますが、ラーフは乗り物の解釈が分かれる一方で、「月を飲み込む影」という物語はひとつに一致します。この記事を読んだあとは、画面の丸い影が少し違って見えるでしょう。
よくある質問
自分の曜日の動物は、本当に私を守ってくれますか?
守護を保証するものではなく、古くからの象徴の体系です。護符のモチーフや話のタネとして楽しむくらいに受け止めてください。
水曜日の昼の水星は白い象ですか、象ですか?
資料によって「象」または「白い象」と紹介されます。白い象はタイでとくに貴重とされる象なので、同じ意味で使われることが多いです。
ケートゥの乗り物はないのですか?
ケートゥは蛇といっしょに描かれると紹介されますが、曜日を守る星ではないので、この記事の曜日の動物には含めませんでした。
参考にした資料
この記事を書く際に参照した外部資料です。解釈と要約はHorasat編集部によるものです。

